アケビの葉のハエ蛹から出てきたハエヤドリコマユバチ亜科の一種
* 2013.06.06・追記 *
ezo-aphidさんから、下の写真の蛹は多食性のナモグリバエのものであろうと教えていただきました。またコマユバチはDapsilarthra属が有力候補ということです。詳しくはコメントをご覧下さい。
今月始めによく似たミバエの2種( Acidiella ?yasumatsuiとアケビハマダラミバエA.kagoshimensis)を掲載しましたが、種名を教えて下さったほげさんから両種とも幼虫がアケビ類の潜葉性であることを併せて教えていただきました。そこで同じ場所のアケビを探して見つけたのが下の蛹です。
3枚目は透過光で撮っています。体長2.4mmくらいで、これがミバエのものなのかハモグリバエなのか私には分かりませんが、先日のAcidiellaの蛹としては小さ過ぎるようです。羽化させるつもりで二つ持ち帰りましたが、どちら蛹からも出てきたのは寄生バチでした。
出てきたものが予想より小さかったものでしばらく羽化に気付かず、発見した時には2匹ともすでに死んでいました。そのせいで少し干からびてしまったかも知れません。写真はやや大きい方の1匹です。
渡辺恭平さんの「WEB寄生蜂図鑑」で探せばハエヤドリコマユバチ亜科の特徴に一致するようです。この亜科は全ての種が双翅目の内部寄生者で、大腮が外向きで閉じた際も互い接しないそうです。
写真では尾端に産卵管らしきものが見えないので雄でしょうか。もう一匹も同じ形態でした。最後の顔面写真では大きく左右に離れた大腮が見えますが、角度が悪くてもう一つ形態がよく理解できません。
(2013.05.17・明石公園で採集)
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コメント
こんばんわ。
ハモグリバエ幼虫の葉潜り法には線状と斑状が、その蛹は葉内に留まるものと脱出するもの、のおおまかに2型があります。加えて、葉裏で後気門を外出することから、これは多食性のナモグリバエであろうと思います。コマユバチの特定は難しいのですが、翅脈はハモグリバエ蛹から普通に得られる Dacnusa属よりも Dapsilarthra属(国内で3種の報告があります)に似ていますね。どちらも確定には至りませんが、私の中では有力候補ですので、ご参考までに。
ミバエ類は、果実や頭花で幼虫が育つのでその和名があると思いますが、葉に潜るときは斑状になり、蛹は脱出する、と思います。 ・・・・例外もあるかもしれませんので、ほげさんに補足して頂けると有難いのですが。
投稿: ezo-aphid | 2013年6月 5日 (水) 18時56分
ezo-aphidさん、おはようございます。
これまで潜葉虫を観察した経験がほとんどなかったのですが、ハモグリバエ幼虫の葉潜り法にそのような種類があることは知りませんでした。ナモグリバエで調べるとよく似た食痕や蛹の写真がたくさん出てきて、なるほどと思いました。ごく普通の種なんですね。今回はハチしか出てきませんでしたが、機会があればハエそのものを羽化させてみたいものです。
Dacnusa属とDapsilarthra属3種の翅脈の画像を探して見ると、おっしゃるように後者の方に近いように思えます。いつもお調べいただきありがとうございます。
投稿: おちゃたてむし | 2013年6月 6日 (木) 08時03分