イカダケイソウ Bacillaria ?paradoxa の運動
プランクトンネットなどによる採集物の含まれる海水をシャーレに入れて実体顕微鏡で眺めていると、ガラスのように輝く細い糸が伸び縮みを繰り返しているのが見えることがあります。それがこのイカダケイソウです。
拡大してみると細長い棒状の細胞が筏か簾のように集まって、それぞれ隣の細胞に対して滑るように動いていることが分かります。個々の動きはゆっくりしたものですが全体ではそれらが加算されて大変ダイナミックな動きになります。
この種の属する羽状珪藻の仲間は多くがこのような運動能力を持っていて、顕微鏡で見ているとよくスライドガラスの上をゆっくりと不規則に動いていますが、このイカダケイソウのように目覚しい運動(よく“南京玉すだれ”に例えられます)が見られるものは他にないのではないかと思います。
この運動(滑り運動、滑走運動などと呼ぶそうです)の機構の原理については有力な仮説はあるものの未だ証明はされていないようで、またその役割についても分かっていないようです。
シャーレの中の広い海水中ではいつまでも運動を続けていますが、カバーガラスの下の狭い場所に閉じ込められると徐々に動きが小さくなりやがて最後の写真のように文字通り筏状に集まって動かなくなってしまいます。
次は動画です。
(2013.06.27・西舞子海岸で採集)
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コメント
こんばんは。
ときどきプランクトン、良いですね〜。それぞれの動画を拝見していますと生命の本質、宇宙とは何ぞや等、神秘でディープな世界に思いが飛んで行きます。イカダケイソウの滑り運動ですか!これは一体なんでしょう。面白すぎます。どういったメカニズムなんでしょうね。
投稿: BABA | 2013年7月 9日 (火) 20時51分
BABAさん、おはようございます。
水中のプランクトンは重力の影響が無いせいか地上では考えられない形や動きが見られて面白いと思っています。
それにしても手軽に動画が撮れるようになったのは嬉しいですね。
これからもときどき出そうと思っていますのでよろしくお願いします。
投稿: おちゃたてむし | 2013年7月10日 (水) 06時28分