« タマゴクロバチ亜科 Trissolcus itoi Ryu 雄の誕生(改題) | トップページ | ツノケイソウとツリガネムシ »

2013年7月 6日 (土)

カメムシ卵から出てきたナガコバチ科 Anastatus sp.♂(改題)

* 20130.7.11・追記とタイトル修正 *

ezo-aphidさんから上條先生にご照会いただいたところ、このハチはezo-aphidさんのご推測通りナガコバチ科 Anastatus属の一種の雄であるとご返事をいただきました。タイトルに属名を加えておきます。
尚、この
Anastatus属の雌は過去に何度か掲載していて(2010.09.252012.07.24、など)、また下の写真を撮影した後同じ場所で蛾の卵塊に産卵する雌を撮影しています。

一昨日、昨日とご覧いただいたタマゴクロバチはサクラの葉裏に産みつけられたカメムシ卵に寄生していたものですが、その同じ木でもう一つ、寄生を受けたと思われるカメムシの卵塊を採集していました。やがてその卵からもハチが出てきましたが予想に反して今度はタマゴクロバチではありません。
最初はコガネコバチの一種だろうと考えたのですが撮った写真をよく見るとどうもコガネコバチらしくありません。太くて長い触覚や胸部背面の形などは以前に撮ったナガコバチ科の
Eupelmus属の雄によく似ていて、この属あるいは同じEupelminae亜科の一種の雄ではないかと思えてきました。
全部で9個の卵のうち8個からこのハチが出てきて6匹はそのまま採集しましたが、すべて同じ形態でした。雄ばかりというのは奇妙ですが、もしこれが本当に
Eupelminae亜科の雄であるとすれば雌ははるかに体が大きいはずなので、雌が育つには小さすぎる寄主卵に母バチが雄の卵ばかり産みこんだとも想像されます。
最後の1個の卵は死んでしまっていたようです。

_dsc34992
前日中に3個のカメムシ卵からハチが出てきましたがこの日は早朝からさらに2匹のハチが脱出を始めていました。

_dsc35192
1匹目は僅かな時間目を離した隙に出てしまい、もう1匹が顔を覗かせた卵の上で身づくろいをしていました。足元に折れ重なっているのは触角を覆っていた蛹殻です。

Nagakobachi_e
2匹目はちょうど出てくるところを見ることが出来ました。

Nagakobachi_f
触角がまだ蛹の殻に包まれています。

_dsc35782
外界に出てくるとまず前脚で触角をしごいて蛹殻を落としていました。

Nagakobachi_a
CombineZPによる深度合成画像です。

Nagakobachi_b
上と同じ個体です。倍率が高くなると合成処理の不具合がいろいろ目立ってきます。

Nagakobachi_c
これも同じ個体の背面です。

Nagakobachi_d
これは別個体。

(2013.06.28・神戸市中央区で採集/脱出は2013.06.30、標本画像は2013.07.01・自宅にて撮影)

 

|

« タマゴクロバチ亜科 Trissolcus itoi Ryu 雄の誕生(改題) | トップページ | ツノケイソウとツリガネムシ »

半翅目」カテゴリの記事

膜翅目」カテゴリの記事

コメント

カメムシ科(Pentatomidae)の寄生コバチをデータベースで調べてみました。トビコバチ科には数属ありますが、コガネコバチ科ではAcroclisoides属、ナガコバチ科ではAnastatus属、にほぼ限られています。新発見でなければ、これはAnastatus属の可能性が高いのですが・・・・・・。

投稿: ezo-aphid | 2013年7月 7日 (日) 22時03分

ezo-aphidさん、おはようございます。
Anastatusは何度も撮っていましたが蛾の卵寄生バチという印象があって結びつきませんでした。これもEupelminae亜科だったんですね。
これまでに見たAnastatus属の雌はどれも体長3mm以上あって多くのカメムシ科の卵には大きすぎるように思いますが、雄の卵を産むためだけにカメムシ卵を利用するということもあるんでしょうか。

投稿: おちゃたてむし | 2013年7月 8日 (月) 06時38分

お待たせしました。先生に伺ってみたところ、以下のコメントを頂きました。
「ご推察通り Anastatus の雄です。手元に標本がないので確認はできませんが、雄で前翅に紋のある種は見たことがないような気がします。寄生蜂では寄主が小型になるにつれて雄の比率が高くなることはよく知られていて、雌親が卵を産み分けていると考えられています。おちゃたてさんの推定は本当にすばらしいと思います。」
コバチ類の雌雄がどう決まるのかは全く知りませんが、いくつかのパターンが考えられます。
1)産卵した寄主のサイズによって性が決定され、小型では雄が、大型では雌に生育する。2)産卵する際に母蜂が寄主サイズを測り、雌雄卵を産み分ける。3)(たとえば未交尾)母蜂は雄だけを産むことを知っていて寄主サイズをあまり厳密に選ばない。母蜂が、産卵時に個別の卵の雌雄を認識しているとは考えにくいので、1)か3)だろうと思います。天敵利用のためのコバチ類増殖に関する論文を読めば判ることなんでしょうが・・・・。

投稿: ezo-aphid | 2013年7月12日 (金) 18時47分

ezo-aphidさん、こんばんは。
ありがとうございます。やはりAnastatusだったんですね。雌雄の外見の違いにあらためて驚きました。タイトルを修正しておきます。先生にもお礼をお伝え下さい。
コバチ類の性決定については、ハナバチや狩りバチと同様半倍数性で母蜂による雌雄の生み分けが可能なんだろうと漠然と考えていたのですが、それとは異なるシステムを採っているんでしょうか。何か参考になる記事が出てくるかと思ってざっと検索してみたのですが見当たりませんでした。
以前やはりカメムシ卵から出てきたタマゴクロバチでは最初に羽化した雄が後から出てくる雌と次々に交尾するのが見られましたが、同じ卵塊から雄ばかりでは交尾相手を探すのはひと苦労でしょうね。

投稿: おちゃたてむし | 2013年7月12日 (金) 20時32分

「 Anastatus Home 」とネット検索すると、オーストラリアで行われている果樹園のカメムシの生物的防除(Anastatusを蚕卵で増殖して放飼する)のようすが載っています。右下隅の「Anastatus pic」をクリックすると、カメムシ卵とコバチの雌雄の写真が見られます。
これで見ると、卵サイズに比べ雌雄ともに大きすぎるように見えます。意外に生育できるんじゃないかなぁ、というのが感想です。

投稿: ezo-aphid | 2013年7月12日 (金) 20時45分

ezo-aphidさん、
蚕で育ててカメムシを退治させるとは巧妙な手段を考えるものだと感心しました。確かに写真を見ると卵のサイズのわりには大きなハチが育つようですね。
ただ寄主のサイズが充分であれば一つの卵塊から雄ばかり出てくることは考えにくいので、今回のカメムシ卵はやはり雌が育つには小さ過ぎたのではないかという気がします。

投稿: おちゃたてむし | 2013年7月12日 (金) 21時07分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/551900/57733054

この記事へのトラックバック一覧です: カメムシ卵から出てきたナガコバチ科 Anastatus sp.♂(改題):

« タマゴクロバチ亜科 Trissolcus itoi Ryu 雄の誕生(改題) | トップページ | ツノケイソウとツリガネムシ »