ザイタマバチ科の一種・産卵
コナラと思われる細い立ち枯れに来ていたハチです。
2匹が忙しく歩き回っていて、おそらく産卵が目的だろうと思ってしばらく様子を見ていましたが、やがて2匹とも飛び去ってしまいました。
立ち止まってくれないので背面像しか撮れませんでした。翅脈を見るとザイタマバチ科の一種のようです。山岸先生の「寄生蜂の解説」によればこの科のハチの寄主は枯れ木を食害する甲虫目の幼虫と推定されるということです。
翅端まで約6.8mm、腹端がよく見えませんがたぶん体長は5.5mmくらいだと思います。
(2013.08.21・学が丘北公園)
上のハチによく似た種の産卵の場面を5年前の同じ季節に撮っていました。
こちらはアラカシの幹で産卵していました。同じザイタマバチ科だと思いますが一回り大きく、翅端まで約8mm、体長は約6.8mmあります。上の写真とは逆に側面像しかないので比較し難いのですが、胸背の様子がよく似ていて触角の節数や各節の長さも一致するので同種の可能性もあると思います。
(2008.8.18・明石公園)
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コメント
なんと言ったらいいんでしょう。 精悍・堅固をそなえた形良さ、とにかくカッコイイです。
この科の主流は亜熱帯圏にいるらしく、国内からの記録はParamblynotus属の2種のみで、雄個体だけで記載されています。つまり、雌は未記録!なのです。
1)Paramblynotus esakii (Yasumatsu,1959) 群馬県で8月に1雄、Paribalia属として記載、Kontyu 27(1):93-95.
2)Paramblynotus kosugii Watanabe & Sakagami,1951 北海道で7月に4雄、Ins. Mats. 17(3-4):129-131.
3)韓国からParamblynotus koreana Wom & Kyon,2013 が記録され、同時にP. kosugiiの雌も記載図示されてます。J.Pacific Entom. 16(4):375-378.
ネットでは3)のぼんやりした写真しか見られないのですが、胸背部がフラットに見えるkoreana に似てるような。
投稿: ezo-aphid | 2013年8月30日 (金) 08時14分
すみません、種名と命名者名を間違えていました。 Paramblynotus koreanus Won & Kyong が正しいです。
ところで、この報文の発行は December 2013となっているのですが、ネット上のは予告編??てことかなぁ。
投稿: ezo-aphid | 2013年8月30日 (金) 12時05分
ezo-aphidさん、こんばんは。
雌が未記録とは、わりと珍しいものだったのでしょうか。
そう言えば今年撮った方(最初の2枚)はちょっと小柄なので、ひょっとしたら雌の羽化を待つ雄だったのかも知れませんね。
ところで、しばらく前から具合の悪かったパソコンがいよいよ末期症状を呈してきました。このところ虫撮りも不調でネタも尽きてきたので、パソコンの入れ替えにかこつけてしばらく更新をお休みしようと思っています。皆さんに忘れられないうちに再開するつもりですので、ご理解のほどお願いします。
投稿: おちゃたてむし | 2013年8月30日 (金) 21時44分
こんばんは、
BABAさんもお休み中だし、とっても残念なメッセージですね。
でも、新規のパソコンの導入に合わせて、「おっ」と驚くような虫の登場を楽しみに待っています(^^)。
投稿: そら | 2013年8月30日 (金) 22時07分
おちゃたてさん、こんばんわ。
ほとんど連続登板ですから、たまには休養も必要ですね。
Liopteridae は国内ではかなりの珍品だと思います。ハチ類の記載は、一般に雌が重要視されているのに、雄だけで命名されたのですから。Paramblynotus属の雄は、雌に比べて触角が長いような印象を持っています。P. esakii雄の記載では、触角長は翅長とほぼ同じです。
投稿: ezo-aphid | 2013年8月30日 (金) 23時35分
そらさん、こんばんは。
現在次のパソコンを物色中なのですが、しばらく時間がかかると思います。
ただ不調なのは機械だけではないので、無事ブログを再開しても当分の間は変りばえのない記事でお茶を濁すことになりそうです。
ezo-aphidさん、こんばんは。
翅と同長というとかなり長いですね。「ひょっとしたら雄か」と思った方も、写真で測ってみれば触角長は翅長の8割弱で、産卵中の雌とかわりがないようです。やはりこれも産卵場所を探す雌だったんでしょうね。
投稿: おちゃたてむし | 2013年8月31日 (土) 21時24分
その後に見かけた P. nipponensisという名をたどって言ったら、重要な文献に行きあたりました。「 Paramblynotus Zhiwei Liu 」と検索すると出てくるZhiwei, Ronquist & Nordlander (2007) Bulletin of the American Museum of Natural History, no. 304.です。
151頁に92種(うち、なんと72種が新種!)の記載があり、北米に1種群、沿海州に2種群、アフリカに2種群、東南アジアに2種群、合計7つの種群にわけられています。そのうち雌雄がそろっているのは18種のみ、標本数1頭きりが47種(10頭以上は8種だけ)という異様な採集状況です。これにesakiiは載っていないのですが、小笠原諸島(父島)産のnipponennsis雌は体長3.3mmと小型です。ちなみに触角長で判ると思っていた雌雄差ですが、そっけなくsimilarとしか記されていないので、あてにはできないようです。
投稿: ezo-aphid | 2013年9月 9日 (月) 09時16分
ezo-aphidさん、こんばんは。
2007年の論文でその状況ということは、よほど稀なのか、あるいはこれまで手をつける研究者があまりいなかった分類群ということでしょうか。今度目にしたらもう少しましな写真を撮っておきたいと思いました。
とりあえずnipponennsisの記載文を翻訳ソフトの手を借り手て覗いてみましたが、やっぱりほとんどちんぷんかんぷんでした。でも私が撮ったものとは体長の差が大き過ぎますね。
根気よくお調べいただきありがとうございます。
投稿: おちゃたてむし | 2013年9月 9日 (月) 20時50分