獲物を運ぶオオモンクロクモバチ(オオモンクロベッコウ)
山道を歩いていたその足元から一匹の黒いハチが飛び出し、数メートル先に着地すると頭をこちらに向けたまま触角をしごいています。もしや、と思って周囲を探すとやはり、すぐ足元に大きなクモがよこたわっていました。すでに麻酔されているのでしょうが、まだ僅かに脚を動かしています。
ちょうど狩った獲物を巣穴に運んでいたところを驚かせてしまったのでしょう。しばらく様子を見ているとやがてハチが戻ってきました。蜂は昨年も掲載したオオモンクロクモバチ(オオモンクロベッコウ)、獲物はコアシダカグモのようです。
戻ってきた蜂は獲物の運搬を再開しましたが、邪魔が入ったため慌てているのか、それとも獲物が重くてうまく運べないのか何度も立ち止まって大顎でくわえる場所を変えます。上の写真のように脚をくわえて引っ張ってみたり、
歩脚の根元近くをくわえてみたり、
毒牙をくわえてみたり、
腹面の、脚の付け根あたりをくわえたりして運んでいきます。
また途中でこんな行動も見せました。
虎の口に頭を突っ込んでいるという格好ですが、自身の栄養補給のためにクモの口器から滲み出る体液を舐めているのでしょう。
やがて意を決したように一気に速度を速めてひっぱりはじめました。重い荷物を引き摺っているにもかかわらずカメラの視野に捉えるのも難しいほどで速さで、あれよあれよと言う間に傍らの藪の中に消えていきました。やはり大型の狩りバチは豪快です。
(2013.08.02・再度谷)
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コメント
うらめしやオオモンクロクモバチ。
いまだに見たいと思っているアシダカグモやコアシダカグモを見られずにいますが、きっとクモバチ衆が狩りまくっているからでしょう(脱皮後の抜け殻だけ見かけるので)。子育ての糧は必要でしょうけど、少しくらいは撮影用に残しておいてくれないものかなぁ・・・・(笑)。
こうなったら、野外で大量にゴキブリを採ってきて、室内に解き放とうかな(笑)。
投稿: フッカーS | 2013年8月12日 (月) 23時56分
フッカーSさん、おはようございます。
やっぱりクモ探しはあちらが本職ですから、さすがのスッカーさんも遅れをとっているという格好でしょうか。
アシダカグモは子供の頃住んでいた古い家ではよく出現して怖がらせてくれましたが、最近では数年前に自宅の冷蔵庫の下から突如現れたのを一度見ただけです。
コアシダカグモは冬場に樹皮の下などでたまに見かけますが、やはり気候の違いがあるんでしょうね。
こちらでも猛暑が続いているせいか、我が家のパソコンも不審な挙動が目立ってきました。
投稿: おちゃたてむし | 2013年8月13日 (火) 06時54分
こんばんは。見事な写真ですね。大型のカリバチは何度か出会ったことがあるのですが、獲物を引きずっている時でさえ、動きが速すぎて、ピントが合わせられずぼけ画像の量産になってしまいます。
投稿: tukik | 2013年8月19日 (月) 23時30分
tukikさん、こんばんは。
ほんとに、自分より大きな獲物をぐいぐい引き摺っていくスピードには驚きますね。
昆虫写真を始めた時から狩りバチの行動は最も魅力を感じる被写体の一つなんですが、実際に見る機会があまりないのが残念です。
投稿: おちゃたてむし | 2013年8月20日 (火) 21時11分