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2013年11月 2日 (土)

カワリマダラカモドキサシガメとその卵

シラカシ(?)の幹で頭を下に向けて静止していたカモドキサシガメです。
日本原色カメムシ図鑑(3)やネット画像、特にカメムシBBSの記事などからカワリマダラカモドキサシガメ Empicoris egregius Ishikawa,2008 として良さそうです。体長は約4.2mmあって図鑑の記載の上限一杯ですが、他の特徴はよく一致しています。

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図鑑には雄の触角第1節は直立長毛で覆われる、とありますが、上の写真ではそれが認められませんし、腹部が大きく膨らんでいることから見ても雌だと思われます。

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撮影を始めると少し移動したのですが、そこで何か植物の種のような黒い物体が視野に入ってきました。同じ幹に多数見られたイダテンチャタテの幼虫の仕業と思われる糸にぶら下がっています。この個体が雌であるとすればこれはその卵ではないかという気がしてきたのですが・・・。

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モニタを確認するためしばらく眼を離していた後、再びカメラを向けてみると、ちょうどサシガメは強く曲げた腹部の先をチャタテの糸にくっつけているところでした。残念なことにファインダに捉えた瞬間には離れてしまい産卵場面を押さえることは出来ませんでしたが、腹端をくっつけていた糸には先に見たのと同じ黒い物体が震えていました。上は産卵直後の状態です。やはりこれがこのサシガメの卵に間違いないでしょう。

Tamago
卵の拡大像。長さ0.55mm、直径0.3mmくらいです。
右の写真を見ると黒い外殻の奥に網目模様のある白い表面が見えていて、これが本来の卵殻なのではないかと思います。黒くて艶のある外殻はある種の被覆物なのでしょう。表面に並んだ鉤状の突起はチャタテムシが張りめぐらせた糸に引っ掛けるのに都合の良い構造なのではないかと推測されます。
実際に捕食の現場を見たことはありませんが、カモドキサシガメのような小型のサシガメの幼虫にとってはチャタテムシの微小な幼虫はちょうど手頃な獲物になるでしょう。そのために母虫が好んでチャタテムシの糸に卵を産み付けるというのは考えすぎでしょうか。
Empicorisの卵の画像を探してみると、Nature Watchというサイトでよく似た画像が見つかりました。撮影者のコメントによればやはり多くはチャタテムシの糸に取り付けられているそうで、また実際にチャタテムシを餌にしているようです。

(2013.10.29・明石公園)

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半翅目」カテゴリの記事

コメント

この卵、ひっつき虫(とくにヤブジラミの種)みたいですねー。
幼虫が集団でいることが多いチャタテムシに、寄生蜂が少ない(いない?)のが不思議と思ってましたが、やはり専門の天敵がいましたか。ただ、チャタテ幼虫の方がす早く動くような印象を持ってるので、捕食能力がどうなってるのか気になります。

投稿: ezo-aphid | 2013年11月 3日 (日) 08時59分

ezo-aphidさん、こんばんは。
卵をこんな風にチャタテ類の糸に引っ掛けるのが通例だとすれば、ひっつき虫に似てくるのは必然なんでしょうね。
カモドキサシガメ類は数が少ないので捕食の現場もほとんど見ていないのですが、確かに動きはスローモーで、チャタテなど敏捷な昆虫を捕らえるのは難しそうに見えます。でも同じように動作の緩慢なヨコヅナサシガメの幼虫がチャタテムシをはじめ自分よりはるかに敏捷な虫を捕えているのは普通に見かけるので、何かサシガメ類独特の秘策があるのかも知れませんね。

投稿: おちゃたてむし | 2013年11月 3日 (日) 19時35分

当日拝見した時は斑模様の細い脚ぐらいしか判らなかったのですがとてもきれいな虫なのですね。
更に、前脚と見えたのは触角で別にシッカリした強そうな前脚がありいかにも肉食種らしさがうかがえます。
ezo-aphidさんや貴殿が心配してしておられる秘策については、この容姿から次のように推測できます。
ポイントは長く中央で折れ曲がっている触角にあります。
逃げようとするチャタテムシの幼虫の前に先回りして触角を立てかければ幼虫は動きを止めて立ち往生し後ろから前脚で捕獲することができます。
いかがなものでしょうか?。無責任ですが実証は皆さん方の努力に委ねておきます。
何分にもこれだけ小さいものは私の眼力、撮影技術、カメラでは到底相手できません。

投稿: YAMKEN | 2013年11月 4日 (月) 09時03分

YAMKENさん、こんばんは。その節は失礼しました。
長い触角で逃げ道を塞ぐ、とは独創的な発想ですね。触角を探索目的ではなく物理的に捕食の道具に使っている例はちょっと思い浮かびませんが、なるほどこのスタイルを見ているとありそうな気がしてきます。実際の狩りを見ることさえできれば答えが出はずですが、最普通種のヨコヅナサシガメでさえその「瞬間」は未だ目撃したことが無いくらいですから、実証は難しそうです。でも犬も歩けば・・・と言いますから、そのうち幸運なチャンスが巡って来ないとも限りませんね。

投稿: おちゃたてむし | 2013年11月 4日 (月) 22時29分

おちゃたてさんのご返事で気づきました。カマキリってそんなに素早く動かないですよね。どちらかというと、固まった姿勢で、環境と同化してるのが基本のような。

投稿: ezo-aphid | 2013年11月 5日 (火) 18時59分

ezo-aphidさん、
やはりこのタイプの捕食者はスピードではなく、ひたすら相手に気付かれぬよう時間をかけてそろりそろりと近づいて、充分に射程範囲に入ったところで電光石火襲いかかる、という戦法なんでしょうね。

投稿: おちゃたてむし | 2013年11月 5日 (火) 20時56分

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