ヤノイスアブラムシ
仕事場近くの貧弱な緑地に二、三本のイスノキが植わっていることに気づいたのは最近です。茶色い実には見覚えのある小さな虫穴がたくさん開いているので、この木でもイスノキモンオナガバチが繁殖しているのかも知れません。
この日はそのイスノキの葉の裏にヤノイスアブラムシの成虫が多く集まっていました。
このアブラムシは秋になって二次寄主のコナラから一次寄主のイスノキに戻って来るのだそうです。(コナラ上の無翅成虫はこちらに掲載しています。)
ぺったりと水平に重ねた大きな翅が特徴的です。頭から羽端まで3mmくらいです。
産卵後の雌でしょうか、どの個体も腹部は小さく萎縮してしまっていて、たるんだ皮膚が襞になって重なっているように見えます。
触角が途中で千切れかけているように見えますが、これで正常のようです。左は幼虫。
幼虫たち。大きいので0.9、小さいので0.5mmほどの体長です。
こちらは大きくて約1.1mm。パイプを一杯に生やした殻を脱いでこんなすべすべした体が現れるのが意外でした。これで成虫でしょうか。
抜け殻です。
これが卵生雌の成虫だとすれば、これが産んだ卵からやがて幹母になる幼虫が生まれて新葉に虫こぶを形成する、という段取りになるのだろうと思います。
このアブラムシが形成する虫こぶ(イスノハタマフシ)やその中の幹母の様子は2010.05.21や2013.04.13の記事に掲載しています。
(2013.11.29および12.02・神戸市中央区)
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コメント
ヤノイスの有翅産性虫は触角が5節で、輪状の感覚器は第3節に14±3個、第4節に6±1個、第5節に4±1個、となってるそうです。第3節がやたら長く、第4・5節の境目は判りませんね。
無翅虫は、おそらく卵生雌の成虫だろうと思います(尾端がやや伸び気味で、後脚脛節が紡錘状に膨らんでいます)。産性虫は同時に(無翅の)雄も産むので、もうすぐ交尾も見られるでしょう。それらの形態の記載は見つかりませんが、このような長いワックスがあるんでしょうかね。
投稿: ezo-aphid | 2013年12月 5日 (木) 07時52分
ezo-aphidさん、こんばんは。
触角の、くびれている部分が第3節・第4節の分かれ目ということですね。
脱皮直後はワックスを身にまとっていないのは当然でしょうが、卵生雌の成虫も脱皮後に長いワックスを伸ばすのかどうか、無翅雄も含めて出来れば確認しておきたいと思います。仕事場の近くなので、またさぼって見に行ってきます。いつもありがとうございます。
投稿: おちゃたてむし | 2013年12月 5日 (木) 20時23分