ミジンコの一種(Daphinia sp.)
公園の池で採集したミジンコ(Daphinia属)です。
前回の記事にも書いたように、奥行き4mmほどの縦型の水槽に入れて水平方向から撮影しています。先に出した動画を見ていただければ分るようにミジンコの動きは非常に早いので、ちゃんと画面に収まってピントの合った写真が撮れるかどうかはこの方法だとほとんど運まかせです。大変歩留まりが悪く、またあまり倍率を上げられないので種の同定に使うような細部までは写りませんが、図鑑などの写真では分らないさまざまな角度からの姿が見られるのが取り柄です。
下の写真の中で体長が1.5mm近くある大型の個体はすべて雌で、多くは体内の卵も持っています。はるかに小型の雄も確認できましたが、その他多数の小型の個体は子どもの雌でしょう。上に書いたような理由で高倍率の撮影が難しいので、写真はすべて低倍率で撮ったものをトリミングしています。
背中の育房に卵(単為生殖による無精卵)が見えます。複眼の前、三角形に尖った部分のすぐ下に見える出っ張りが第一触角で、雄ではこれが長いので区別できます。
こちらの卵はかなり発生が進んでいます。
こちらではすでに卵が
孵化して小さな子どものミジンコの姿になっています(赤い
複眼が見えています)。体表にたくさん付着している緑色の粒は緑藻だと思いますが、よく分かりません。それよりも数は少ないですが、半透明の付着物は繊毛中の一種(ツリガネムシの仲間)です。
頭の後ろから伸びる太い緑色の管は腸で、そのまま肛門に続きます。
緑の色はこのミジンコが食べた緑藻類の色でしょう。
下から見上げた状態です。10本ほど見えている短い棘が肛刺の一部で、その先の長い2本の爪が尾爪です。
肛刺に囲まれるように肛門が開いていて、やがて排出される糞がソーセージ状に見えています。
ピントが合っていませんが、ちょうど糞を排出しているところのようです。
大きな
複眼の真下に見える茶色の点が単眼です。
上2枚は雄です。顔の前の三角形の出っ張りがなくて、代わりに第一触角が少し長いのが分ります。(1枚目と見比べてください。)
これも雄。複眼の下から逆ハの字型に突き出しているのが第一触角です。
画面上は水面です。
ミジンコの左右は
ヒゲナガケンミジンコ(カラヌス)の仲間です。
(2014.02.03・明石公園にて採集)
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