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2014年2月16日 (日)

トゲアラメカメムシ Patapius spinosus (Rossi,1790)

このところ近所の公園めぐりは不漁続きなので、久しぶりに海を渡って対岸の淡路島の海岸へ遠征を試みました。冬場の葉めくりならぬ石めくりという次第です。
明石海峡を越えて吹きつける北風に震えながら3時間ばかり歩き回って見つけた虫はごく僅かで、ほとんど珍しくもないものばかりでしたが、この1匹だけは予期せぬ大物だったようです。
ゴミだらけの浜に転がったコンクリート片の裏側にくっついているのを見たときは一瞬イダテンチャタテの親類かと思ったのですが、よく見るとカメムシ、それも全く見覚えのない全身棘だらけのカメムシです。捕食性を思わせる大きな複眼からまずミズギワカメムシの仲間を疑ったのですが、帰宅して確認すると大雑把なプロポーションは似ているものの違いも大きくとても同じ科とは思えません。手持ちの図鑑に目を通してもどの科からもかけ離れた姿で、全く見当がつきません。そこで以前からよく参照させて貰っているカメムシBBSにお伺いを立てると、即座に鶉さんから「トゲアラメカメムシ Patapius spinosus だと思います」とのご返事をいただきました。
この種は日本では2002年と2004年に大阪の海岸で初めて採集されものですが、BBSの管理人のかりしうすさんによると近年は採集記録がなかったそうです。また
Patapius属を含むアラメカメムシ科 Leptopodidae はミズギワカメムシ科などとともにミズギワカメムシ下目に属しますが水性ではなく、国内で知られているのは移入種と思われるこの1種のみだということです。

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頭から翅の先まで約2.9mm。

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顔面から胸部、翅の上まで全身棘だらけです。

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ピントが合っていませんが、特異な形の口吻にもやはり棘が生えています。

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複眼にまで太い棘が生えているのには驚きます。いかにも恐そうな面構えですが、ミズギワカメムシのように捕食性なんでしょうか。

(2014.02.10・淡路市 松帆海岸)

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コメント

お待ちしていました。淡路島でも「金メダル」が撮れるんですねー。

初記録のデータを見ると、関西空港近くの河口域で、11月上旬に1雌、3月上旬に4雄・2雌が採れています。3月では、波打ち際から離れた小砂利300個の反転で6個という結果なので、打率2%ということになります。この発見率で冬場の採集というのは、気が進まないでしょうねー。原産地は地中海のようで、スペイン語の画像がやたら多いように思います。北米では西海岸のカリフォルニアで初発見の後、内陸隣州のオレゴン・ネバダ・アイダホ、近年はテキサスにも広がっています。ということは、やや乾燥した内陸草原でも繁殖できる種といえましょう。英国あたりでは、庭とか麦畑近辺などという、普通の場所にも見られるようです。食性は判りませんでした。が、成虫越冬ならば餌の少ない場でも良いと考えられますので、植物食を一概には否定できません。
タイ産の本属の検索表を見ましたが、複眼に刺を持つのは(??6種くらいのうち)2種だけで、長い方がspinosusなのだそうです。

投稿: ezo-aphid | 2014年2月16日 (日) 22時15分

舌足らずがあちこちにありましたので、追伸です。
「おめでとうございます」という大事なメッセ-ジをを言い忘れました。

タイ産のPatapiusは5種で、spinosusは地中海周辺国の全域に見つかるようです。
港湾地に見つかる移入種は海洋貿易と関わっているようで、輸入貨物に便乗してくるのでしょう。たとえば、乾燥した牧草を冬場に輸入する際に、越冬成虫ならば絶食しても便乗できるでしょう。アメリカ(?西部)から乾燥牧草の大量輸入はあったようですし。北米から入ったイネミズゾウムシ・アルファルファタコゾウなどは成虫越冬で、イネ科・マメ科を食べる種です。
植物食のハムシやゾウムシなどの越冬成虫が、冬場を食餌のとれない林や樹皮下などで過ごすのと似ています。夏は植生地にいて(植物なり昆虫を食べ)、冬場は植生が無いために昆虫がごく低密度の砂利地帯に移動する、というのも天敵を避けるいい手かなと・・・・・。

投稿: ezo-aphid | 2014年2月16日 (日) 23時39分

ezo-aphidさん、おはようございます。
犬も歩けば、というところですが、やっぱりたまには場所を変えてみるものだと思いました。
初記録時もやはり似たような環境で採集されたんですね。まだ寒い3月上旬に大の大人が海岸の石を片端からめくって歩く姿を想像すると(自分も同じことをやっているんですが)可笑しくなります。
教えていただいた学名で検索して画像がいくらでも出てくるのに驚きましたが、原産地では普通種なんでしょうね。移入種のカメムシと言えば同じく大阪周辺からひろがって普通種になったヘクソカズラグンバイやアワダチソウグンバイがありますが、日本に入ってから少なくとも10年以上経つのにほとんど拡がっていないということはこちらには適合した環境が存在しないということでしょうか。
食性については、その面つきからつい捕食性ではないかと想像してしまいましたが、同じ日の石の下からは普通の植食性のカメムシも何種類か見つかりましたから、ご指摘のようにこの種も植食性という可能性は高いと思います。でもやっぱりあの顔は・・・?。活動期の姿をぜひ見たいものですね。
いろいろ詳しくお調べいただきありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2014年2月17日 (月) 07時27分

今晩は。
久しぶりに、見に来たらすごい虫ですね。複眼から刺の発想はすごいです。
全体の感じもゴキブリのような感じですね。私なら、現地でカメムシとは
気がつかないと思います。
私のフィールドにも海岸があるので、いつか出会ってみたいですね。
まずは、イメージトレーニングからですね。
冬のマンネリ感の漂う時期に、いい物を見させていただきました。

投稿: tukik | 2014年2月21日 (金) 00時46分

tukikさん、こんばんは。
毎年のことながら、この冬は特にお馴染みの公園めぐりでは目新しいものがほとんど見つからず行き詰まりを感じていたのですが、ちょっと場所を変えてみたおかげで面白いものに出会えました。
石のごろごろした海岸や河原は越冬昆虫探しには最適だと思うのですが、残念ながら私の近所ではほとんどがコンクリートの護岸に取り巻かれていて虫の隠れる場所もありません。tukikさんのご近所で良い場所があればぜひ探してみてください。

投稿: おちゃたてむし | 2014年2月21日 (金) 19時56分

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