トビモンオオエダシャク?の産卵
3週間ばかり前の写真です。
モッコクの幹にとまっていた翅の短い蛾です。撮影を始めてから気が付いたのですが、産卵中でした。
この季節、翅の短い蛾ならフユシャクだろうと思ってネット画像を探してみたのですが似たものが見つかりません。それならフユシャク以外にも短翅型の雌はいるだろうと思って範囲を拡げてみてもそれらしいものはやはり出てきません。そこで長年明石の蛾を調べておられるYAMKENさんの掲示板にお伺いを立ててみました。
私はフユシャクのことがまず頭にあったのでこの短い翅の雌を見てこれが本来の姿なんだろうと決め込んでいたのですが、YAMKENさんによればこれは羽化の失敗によって翅が縮んだままの個体だろうというご返事でした。そしてこの状態では翅の形も模様も分からないので種どころか科の特定も難しい、と言うことでしたが、それでも触角の感じや卵からエダシャク亜科、中でもチャエダシャクを候補に挙げていただきました。
さらに同じ掲示板でnabeさんからトビモンオオエダシャクでは、というコメントもいただきました。
そこでそれら2種の候補で検索してみると、新開孝さんの「新ひむか昆虫記」(2011.03.23)で下の写真にそっくりな卵の写真が見つかりました。トビモンオオエダシャクの卵ということです。他のサイトでもトビモンオオエダシャクの産卵中の写真をいくつか見ることが出来ましたがどれも3月前後で時期が近く、また過去にこの明石公園で成虫を撮影したこともあるので、今回見た雌はこの種の可能性が高いように思います。
産卵中の蛾から少し離れた場所にもいくつかの卵塊がありました(矢印)。同じ雌が産んだものだと思います。約2週間後覗いてみれば更に離れた場所にもいくつかの卵塊が見つかりました。すべてを合わせた卵の数はこの写真に写っているものの3倍くらいにはなるでしょう。
卵は長さ約0.7 0.9mm。表面に蜂の巣状の模様があります。以前アラカシの幹で見つけた卵殻によく似ていて、同種の可能性もあると思います。
(2014.02.26・明石公園)
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コメント
こんばんわ。
痛々しい姿ですね。羽化脱出時に大きな力で胸(+腹部)あたりを傷つけられたため、体液を翅脈に注入する際に漏れ出てしまったようです。そのため、翅の伸長・展開が、ほとんどできなかったのでしょう。脚も2-3本足りないので、移動も容易ではなさそう。 それでも、ちゃんと交尾し産卵までしてるとは・・・・・。
投稿: ezo-aphid | 2014年3月17日 (月) 22時12分
ezo-aphidさん、おはようございます。
ポンプの液漏れということですか。背中の傷が羽化不全と関係があるんだろうとは思っていましたが、そういう仕組みなんですね。この状態で多数の立派な卵を産み付けているのは健気だと思いました。
投稿: おちゃたてむし | 2014年3月18日 (火) 06時57分
昨日(3/17)に確認してきました。
孵化はまだで母蛾の亡骸もありました。詳しくはMyBBSに・・・・。
投稿: YAMKEN | 2014年3月18日 (火) 20時29分
YAMKENさん、おはようございます。
お手数おかけしました。
母蛾の死骸を見つけられたとはさすがです。私の約2週間後に見に行ったのですが、探しもしませんでした。
近いうちにまた覗いてみたいと思っています。
投稿: おちゃたてむし | 2014年3月19日 (水) 06時29分