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2014年5月 3日 (土)

ミズアブの一種(Wallacea ?tsudai)・産卵と蛹?(改題)

* 2014.05.03・追記とタイトル修正 *

写真の雌の所属について、ezo-aphid さんが Wallacea tsudai という種を有力候補として挙げて下さいましたので、タイトルに種名を加えました。また蛹の方は、Wallacea 属として矛盾はないが判別に必要な特徴が写真に写っていないので、同種と確定するのは無理なようです。詳しくはezo-aphidさんのコメントをお読みください。

いつもの公園の片隅に放置された伐採木に数種類のハエ(クロツヤバエ科ミズアブ科ハネフリバエ科)が産卵に来ているのを見たのが昨年の4月から5月にかけてでしたが、今年も同じ木で前回と同じミズアブの一種(Wallacea sp.)の産卵が見られました。

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体長約4mmです。

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腹部がとても幅広で畳んだ翅の下から大きくはみ出しています。

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樹皮が剥がれて柔らかそうな部分を選んで産卵管を突き刺しているようです。

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ミズアブの仲間にも虹色の複眼を持った種が多いようです。

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切り口の樹皮の下に蛹らしきものがありました。長さ5mmくらいです。

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こちらの蛹は半身を樹皮の隙間から乗り出しています。幼虫時代はもっと奥の方で生活していても、おそらく蛹化の前には羽化に都合の良い場所まで出てくるのでしょう。

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こちらは羽化した後の抜け殻です。

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頭の部分がキャップみたいにきれいに取れています。

(2014.04.24・明石公園)

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コメント

「ミズアブ図鑑」のWallacea には雄しか載っていないのですね。Nagatomi(1979)によれば、雌の判別は、前脛節の色と複眼間の距離(複眼の幅と比較)で行うそうです。2011年9月20日の雌は、脛が黄褐色なので、本州以南に分布するalbiseta(正面から見た複眼最大幅が触角部複眼間の約1.1倍)の可能性が大きいでしょう。脛が同色のedashigei(複眼最大幅は約0.9倍、複眼周りの灰色帯は触角近辺で細まる)は、四国の面河渓で8月に採れた1雌しか知られていませんので。
前回とこちらの雌は、脛がほぼ黒色で、複眼最大幅が触角部複眼間より長いようなので、九州以南に分布するというtsudaiだろうと思います。脛が同色の「?nigrotibialis」(複眼最大幅は約0.8倍、複眼周りの灰色帯は触角近辺で細まる)は、北海道からのみ、多数採れています。残る1種、separataの雌はいまだ採れていませんので、同定は無理なのですが、これらは有力候補とお考えください。
幼虫・蛹の特徴では、頭部背面と尾端部(腹部第8節)の腹面がとくに重要です。頭部の眼隆起の有無、腹部背面の刺毛列数、尾端刺毛の長さとその腹面側にある肛門の形などです。この蛹は、とりあえずはWallaceaから外れていませんが、肛門の形が特徴的なので、それがあれば確定できると思います。

投稿: ezo-aphid | 2014年5月 3日 (土) 12時13分

ezo-aphidさん、こんばんは。
2011年の雌も同種だろうと思っていたのですが、別種でしたか。脛節の色の違いに気づきませんでした。蛹の方も引っ張り出して両面を撮影しておけば良かったのですが、気が回りませんでした。修行が足りませんね。候補として挙げていただいた種名は?付きでタイトルに掲げておきます。いつもながら詳しくお調べいただき恐縮です。ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2014年5月 3日 (土) 20時16分

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