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2014年7月 6日 (日)

クサカゲロウ幼虫に産卵するトビコバチの一種(??Isodromus sp.)

* 2014.07.07・追記 *

写真のトビコバチは大図鑑に載っている Isodromus とは形態的に違いが大きいと ezo-aphid さんからご指摘をいただきました。そしてクサカゲロウを寄主とする他属のトビコバチについてもいろいろ調べてくださったのですが、他にも特徴の一致する属が見つからないようなのです。つまり Isodromus とするのはかなり怪しいけれども他に有力候補もないということで、ezo-aphidさんのお勧めどおり疑問符を二つ重ねて「??Isodromus」としておきます。詳しくはコメントをご覧ください。

薄暗い林の中でこれを見た時はクモの食べ滓かと思って通り過ぎかけたのですが、念のためと思い直して虫眼鏡で覗いて見ると産卵中のトビコバチでした。
最初ハチが産卵していたのは小さな蓑虫だと思い、ハチが去った後でつまんでみると蓑と思ったものは簡単に取れてしまって下からクサカゲロウの幼虫が現れました。
帰宅して北隆館の大図鑑を調べると、トビコバチ科では Isodromus 属がすべてクサカゲロウ類(まれにヒメカゲロウ類)の幼虫に寄生するとされていて、クサカゲロウクロトビコバチ I. niger とウワジマクサカゲロウトビコバチ I.uwajimensis という2種が図示されています。(後者はBABAさんのブログに登場しています。)今回撮影した種は翅に黒紋があってそのどちらとも異なりますが、寄主から考えて属は同じなのではないかと思います。

_dsc0571
カエデの幹の上です。腹部を曲げているので正確ではありませんが、体長は2.5mmくらいでしょう。産卵管は見えますが、これで寄主までとどいているんでしょうか。

_dsc05802
腹部背面の、ちょど折れ曲がった角のあたりに突起のようなものが見えます。

_dsc05792
別カットから、同じ部分の拡大です。腹節から何かが突出しているように見えますが、大図鑑の Isodromus 2種の説明には特に言及はありません。

_dsc0585
ハチが去った後も全く動かないので、蓑虫かと思ってつまんでみました。

_dsc0614
ゴミの下から出てきたのはクサカゲロウの幼虫でした。

_dsc06162
元気に歩き始めましたが、すでに寄生卵を産み付けられているんでしょうか。

(2014.06.26・再度谷)

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コメント

これは困りました。
Isodromusをネット検索しても、図を伴った情報が見つけられません。
大図鑑を眺めると、形の上では(触角柄節やそれ以降の節の長さ、色合い、翅の模様などから)その直前にあるHomalotylus属に見えて仕方がありません。しかし、Homalotylus属でクサカゲロウに寄生する種は報告がありません。この種がテントウムシ幼虫と間違えて、クサカゲロウに産卵に来たと考えるのも無理がありますし・・・・・。

投稿: ezo-aphid | 2014年7月 6日 (日) 21時09分

ezo-aphidさん、おはようございます。
大図鑑では寄主の一致する属が他になさそうなので恐らくこのIsodromusだろうと考えたのですが、図版をよく見ると確かにご指摘のとおりですね。Homalotylusで検索してみると全身真っ黒で触角が長く、翅の中央に黒紋のある、今回の種とよく似た画像がいくつも出てきました。でも寄主として甲虫と脈翅目では違いが大きいですね。クサカゲロウ幼虫に寄生するトビコバチは他にいないんでしょうか。

投稿: おちゃたてむし | 2014年7月 7日 (月) 06時48分

ごもっとっもです、じつはコバチ上科DBで調べてあります。
クサカゲロウ科に寄生記録(ほとんどはChrysopa属、ただし卵などを含む)があるのは次の8属で、そのうち比較的事例が多いのは、Isodromus, Myartsevaia, Cheiloneurus などです。「Myartsevaia, Copidosomyia, Isodromus, Cheiloneurus, Eupeocilopoda, Anagyrus, Leptomastix, Ooencyrtus 」
このうち日本に分布する属は、Isodromus, Anagyrus, Leptomastix, Cheiloneurus(フサヒゲ), Ooencyrtus(卵寄生)ですが、最後の2属は( )内の理由によってはずしました。残るは、Anagyrus, Leptomastix ですが、これを大図鑑の136図で見ると・・・・・、Isodromus と同じ理由で、この仲間に入れるのは難しいように思いました。
 生態的には Isodromus の可能性が高いので、私なら「 ??Isodromus 」とするところです(専門の方からのコメントを期待して)。

投稿: ezo-aphid | 2014年7月 7日 (月) 07時52分

ezo-aphidさん、ありがとうございます。
やっぱりすでにお調べいただいてましたか。
クサカゲロウ科を寄主とするトビコバチはIsodromusだけではないんですね。でもおっしゃるとおりAnagyrus、 Leptomastixとも大図鑑を見てもネット上の画像でも今回の種に似ているものはなさそうです。ご意見どおり、とりあえず疑問符を二つつけてIsodromusとしておきます。
予断ですが、卵寄生の種があるということに興味を惹かれました。小さなトビコバチがあの優曇華の花に産卵する場面というのを是非一度撮影してみたいものです。

投稿: おちゃたてむし | 2014年7月 7日 (月) 20時03分

えー、焦点合わせが大変そうですね。種名が判っているものは クワナタマゴトビコバチ O. kuvanae で、Chrysoperla 属などに寄生したようです。

投稿: ezo-aphid | 2014年7月 7日 (月) 23時10分

ezo-aphidさん、おはようございます
大図鑑にも載っている種ですね。そんな場に出会う確立は限りなく低いでしょうが、犬も歩けば、ということもありますから期待だけは持っておきます。

投稿: おちゃたてむし | 2014年7月 8日 (火) 07時06分

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