トゲヒロオミジンコ属の一種(Leydigia sp.)
溜め池で採ってきたミジンコですが、マルミジンコ科のトゲヒロオミジンコ属(Leydigia)の一種で間違いなさそうです。
「日本淡水産動植物プランクトン図鑑」(名古屋大学出版局)にはこの属の3種が図示されていますが、うち2種はいくつかの特徴から除外できるので候補はヒロオミジンコ(L.leydigi)のみになります。もちろん他に近似種があるのかも知れません。またこの種は「中部地方、北海道のダム等の湖沼深底から得られているが、少ない」と説明されていて、他の2種も同じようなものです。そのような種が平地の溜め池で見つかったのは意外な気がしますが、単に調査が進んでいないだけとも考えられます。あるいは何らかの形で(何かに付着して?)人為的に分布を拡げているんでしょうか。
図鑑にはLeydigia属の3種とも「淡黄色を呈し」とありますが、私にはむしろ「淡紅色」に見えます。
頭部に見える二つの黒い点は後方(画面では右)が複眼、先の方が単眼です。
縁に刺毛を生やしたヘラのような部分が後腹部で、この幅が広いことが「広尾」の名の由来でしょう。
この後腹部の形や尾爪(後腹部の先端の蹴爪のような長い棘)の基部に1本の小さな棘(基刺)があること、また殻面に縦線紋様を欠き、単眼と複眼がほぼ同じ大きさ、などの特徴がL.leydigiに一致します。
(2014.06.04・神戸市西区の溜め池で採集)
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