獲物を運ぶヒゲクモバチの一種(Dipogon sp.)
アラカシの幹を、クモをぶら下げて上って行くハチがいました。
近づくと獲物をくわえたまま右に左に逃げ回るのですが、垂直面を重い荷物をぶら下げたままにしては驚くほどの速さで走るのでカメラの視野に捉えることすら難しいほどです。
2、3度獲物を取り落としましたが、その度に速やかに枯葉の間から見つけ出し、すぐまた木を上りはじめます。
幹の窪みでひと休み。
獲物の口器に自分の口をつけているのは、こちらと同じように口器からにじみ出るクモの体液を吸収しているのだろうと思います。
上の写真をよく見れば、ハチの大顎の下に褐色の長い毛が多数生えていることが分かります。この特徴と獲物の運び方から、このハチはヒゲクロバチ(ヒゲベッコウ)属(Dipogon)の一種であると判断しました。
森林総合研究所の竹筒ハチ図鑑によればヒゲベッコウ属はヒメベッコウ属にとよく似ているが、メスの小腮基部に多数の長毛を密生する、ということです。そして同属の2種の標本写真が掲載されていますが、この属は日本で10種以上記録されているが、いずれも形態的に非常によく似ており、同定は難しい、とあります。
また「狩蜂生態図鑑」(田中義弘著)のコシボソヒゲクモバチの項には獲物は糸イボをくわえ後退運搬、とあり、ヒゲクモバチ類は既存坑を利用、甲虫の脱出坑を利用するものが多い、と説明されています。
(2015.07.13・明石公園)
* * *
上の「甲虫の脱出坑を利用」という記述を読んで、6年前に同じ場所で見たハチを思い出しました。
以下、その時の写真です。
以下、その時の写真です。
腹部の先を鏝のように使っていることからクモバチ(ベッコウバチ)の仲間であることまでは見当がついたのですが、そこから先が分かりませんでした。
巣穴を塞ぐ材料は木屑を唾液で捏ねたようなものでしょうか。
(2009.08.21・明石公園)
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