マルトビムシの一種・雌雄
水中の微生物を観察するために採ってきた公園の池の水をシャーレに入れ実体顕微鏡で眺めていると、水面に浮かんだゴミとともに小さなマルトビムシが漂っているのに気がつきました。以前、同じ状況で水中に潜るマルトビムシを見たことがありましたが、今回はまた違う面白い行動を見せてくれました。
最初この状態を見た時はマルトビムシの頭にダニでもくっついているのかと思ったのですが、よく見ればくっついているのはひと回り小さな同じマルトビムシで、触角の先を曲げて大きい方の個体の触角を掴んでいます。ネットで調べてみるとやはり大きい方が雌、小さいほうが雄のようで、主に海外サイトで同じ行動を捉えた画像をたくさん見ることができました。この仲間の配偶行動なのでしょう。
手前のマルトビムシが掴まっているのは別種のトビムシの死骸です。上に乗った雄の腹面に二股になった跳躍器が見えています。
二組のつがいはそのまま水面を漂ったりゴミに掴まったりしていましたが、室内の僅かな空気の動きにもどんどん流されていくので追いかけるのがひと苦労です。大きさは、奥の大きな雌が体長約0.6mm、手前の雌が0.5mm、雄はどちらも0.4mmくらいで、この公園でよく見かけるクモマルトビムシの一種などに比べるとはるかに小型ですが、この行動から見るとこれでも成虫なのでしょう。
雄の触角には把握のための長い毛が生えているんだそうです。
この雌は前半身を持ち上げるために跳躍器を支えに使っているように見えます。
撮影中、風が当たったり水面が揺れたりと刺激が多かったはずですが、二組ともしっかりと掴まったまま離れませんでした。
(2015.12.23・明石公園にて採集)
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