« オドリバエ科の一種(Anthalia sp.) | トップページ | ゴミムシダマシ科の一種 »

2016年4月14日 (木)

ナラメリンゴフシに産卵するオナガコバチの一種(?Torymus sp.)

コナラの幹から伸びた細い枝の先に丸い虫こぶが、と近づいてよく見ると、青緑に輝く小さなハチがとまっていました。オナガコバチの一種です。
ハチは虫こぶの周りを歩き回っては産卵管を突き刺しています。ときどき飛び去ってはまた戻ってくるので正確には分かりませんが、3匹くらいいたようです。体長は小型の個体で3mm、大きいので4mmくらいでした。
この色合いは以前に一度だけ撮ったTorymus属の一種と同じで、その属名で検索してみるとよく似た画像が多数出てきました。また蜂が好きに掲載されたハンマーさんの画像は属名は挙げられていませんがやはりナラメリンゴフシに産卵中のもので、同種ではないかと思います。

Dscn2472

_dsc3966
細い枝は風に揺れ、それを止めようとして手を触れるとハチは即座に飛んで行ってしまいます。これではごく低倍率でしか撮れないので、逃げられるのを承知で虫こぶのついた枝を曲げ、幹に近い別の小枝に引っ掛けて揺れを止め、ハチが帰ってくるのを待つことにしました。手荒なことをしたので1、2時間は覚悟していましたが、その辺で30分ほど時間つぶしをしてから様子を見に戻ると、すでにハチは帰ってきていました。

_dsc4055
小細工のおかげで揺れも気にならなくなり、背景も冴えない幹の色ですが真っ黒にならずに済みました。

_dsc40752

_dsc40992 
穿孔にはあまり抵抗もないようで産卵管は見る間に入っていきます。周囲を歩き回りながらかなり短い間隔で刺したり抜いたりを繰り返していましたが、多分その度に産卵しているのではなく、そうやって適切な場所を探しているようです。その間には数分間突き刺したままの姿勢を保っていることもあって、その時には実際に産卵していたものと思われます。

_dsc40412
産卵管が体長より長いので、脚を伸ばし腹部を目一杯持ち上げて虫こぶに突き立てています。

_dsc4223
これは産卵管を引き抜いた瞬間です。この腹部はどんな構造になっているんでしょう。

_dsc41932
こういう場面はついつい真横からばかり狙ってしまって、背面像をほとんど撮っていませんでした。

_dsc4243

(2016.04.10・学が丘北公園)

|

« オドリバエ科の一種(Anthalia sp.) | トップページ | ゴミムシダマシ科の一種 »

膜翅目」カテゴリの記事

虫こぶ」カテゴリの記事

コメント

こんばんは、

メタリックな緑色がキレイな色のオナガコバチですね。その割には、背面からの写真写りは普通ですが。
小さくて尾の長いのも撮ってみたいですが、虫を探すポイントがズレているのか出会い無しです。
ようやく暖かさも安定してきたので、虫の数が一気に増えてきましたね。これで、暫くはブログのネタに困ることは無くなるで一安心と言ったところです。

投稿: そら | 2016年4月14日 (木) 21時08分

そらさん、おはようございます。
確かに、背面は他のコバチ類とあまり違いがありませんね。
春も本番ですが、私の方はこのところ休日でも虫撮りに出かけられないことが多くなって、相変わらずネタ不足の状態です。

投稿: おちゃたてむし | 2016年4月15日 (金) 06時50分

おはようございます
素晴らしい瞬間ですね!美しいハチですね、ファインダー越しのおちゃたてむしさんの興奮が伝わってきます。
被写体に動きがあると本当良いですね。

投稿: BABA | 2016年4月15日 (金) 07時03分

BABAさん、
ありがとうございます。
最近撮る量、内容ともに低迷していたので久しぶりに面白いものが撮れて喜んでいます。
近場の公園めぐりばかりでは毎年同じものばかり、と半ばあきらめかけた時にちょっと変わったものが見つかるので、やっぱりやめられませんね。

投稿: おちゃたてむし | 2016年4月15日 (金) 19時57分

はじめまして、今日我が家で見つけたオナガバチの一種とおぼしき虫の正体を知りたく検索していたところ、こちらに辿り着きました。このハチです!美しいハチが見事な写真でさらに美しくて素晴らしいです。ひとつ質問があります。写真を見るに、このハチは胸部と腹部の間ぐらいにある茶色い管を果実に刺しています、これが「産卵管」との説明がありますが、では尾の長い管はいったい何なのでしょうか?何に使うのでしょうか?そもそもハチはどの種も(というより昆虫は皆)産卵管は胸部と腹部の間ぐらいに存在するものなのですか?素人質問ですみません。よろしくお願い致します。

投稿: 風太 | 2020年8月14日 (金) 14時13分

風太さん、はじめまして。
記事をご覧いただきありがとうございます。
写真は撮っていても私も全くの素人なので詳しくはご説明できませんが、ご指摘の、腹部後端から伸びている黒い管は産卵鞘(産卵管鞘)と呼ばれているもので、平常はこの鞘に産卵管が包まれています。観察した限りでは、産卵時にはまず鞘ごと産卵管の先端を穿孔点にあてがい、挿入が始まると鞘だけ離れていき、産卵が終わり産卵管を引き抜いた後は後脚でしごくようにして元の鞘に収めているように見えます。長い産卵管を待つ寄生バチの多くはこのような構造になっているようです。そのあたりは次の記事の写真がご参考になるかも知れません。
http://mushi-akashi.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-c7ae.html
http://mushi-akashi.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-bbbf.html
一般に昆虫の産卵管がどの場所にあるのか不勉強でお答えすることは出来ませんが、腹端から出ている方が多数派なのではないでしょうか。寄生バチの中でも体長に比べて長い産卵管を持つものはそれを扱うために構造にも習性にもいろいろ工夫が凝らされているのだろうと思います。

投稿: おちゃたてむし | 2020年8月14日 (金) 21時55分

遅くなり申し訳ありません。早速の返信ありがとうございます!
2つの過去記事、大変参考になりました!記事の中でおっしゃるとおり、寄生バチの生態はほんとうに「奇妙」で、「へぇーーー!!」と感嘆しながら見入ってしまいました。とても面白く、そして勉強になりました。ありがとうございました。他の記事も拝見させていただきます!

投稿: 風太 | 2020年8月17日 (月) 17時01分

ありがとうございまた。これからも時々覗いていただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

投稿: おちゃたてむし | 2020年8月17日 (月) 21時10分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ナラメリンゴフシに産卵するオナガコバチの一種(?Torymus sp.):

« オドリバエ科の一種(Anthalia sp.) | トップページ | ゴミムシダマシ科の一種 »