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2016年10月22日 (土)

クロガネモチの実に産卵するキイロカタビロコバチ

前回の記事で、いつも見ているクロガネモチではニッポンオナガコバチはまだ出てきていなかったと書きましたが、代わりに別のコバチが来て赤く色づいた実に産卵していました。冬場の葉裏ではお馴染みのキロカタビロコバチ Sycophila variegataです。

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最初に見つけた個体です。産卵しているのですが、手前の枝や実が邪魔になって思うように撮れません。

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上と同じ個体です。ピントが合っていませんが、前翅前縁の黒紋はSycophila属の特徴だそうです。

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2匹目はもう少し撮りやすい場所で見つかりました。

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産卵管鞘を上方にはね上げている姿勢が、同じカタビロコバチ科でもこちらなどとはずいぶん違います。この雌も間もなく飛び去ってしまい満足できるほど撮ることはかないませんでしたが、これまで越冬中の、ただじっとしている姿しか見ていなかった種の活動期の様子を初めて見るとやはり嬉しくなります。

キイロカタビロコバチは多種のタマバチ幼虫に外部寄生することが知られているそうです。このクロガネモチでは毎年11月末から12月にかけてその実からニッポンオナガコバチが羽化してくるのを観察しているので、それがキロカタビロコバチの寄主になっていることが考えられますが、タマバチ類以外の寄主が知られているのかどうか分かりません。あるいはオナガコバチとは別に、タマバチの仲間もこの実に寄生しているのでしょうか。この日同じ木で数匹のキイロカタビロコバチが赤い実の上にいるのが見られたので、少なくとも偶然ではないと思います。
そのことに関連して、この5月末に同じ公園内のイスノキの実に別種のカタビロコバチの一種が産卵しているのを見ましたが、このイスノキでは以前からオナガコバチ科のイスノキモンオナガコバチが発生しているのを確認しています。2種のオナガコバチと2種のカタビロコバチ、それぞれが寄主と寄生者の関係にあるのかそれともカタビロコバチの寄主は別に存在しているのか、興味を惹かれます。

(2016.10.19・明石公園)

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