アキニレ樹皮下に集まったタマワタムシ亜科Tetraneura属の一種
* 2016.11.29・追記 *
写真のアブラムシについて、青木重幸さんからコメントをいただきました。写真5・6枚目に写っている、黄色くて大型の個体が有性世代のメス(卵生メス)、緑色で小型の個体がオスで、どちらも多分成虫、そして一緒に写っている卵はこれらのメスが産んだものだろうとのことです。また雌雄ともに摂食はせず、サイズは生まれたときからほとんど変わらないそうです。
アキニレの樹皮下に沢山のアブラムシやその死骸が集まっていました。Hepotaさんが5年前の記事で紹介されたタマワタムシ亜科Tetraneura属の一種だと思います。一次寄主はニレ属で虫コブを作り、二次寄主はイネ科植物の根だということです。
体長0.5mmほどの幼虫から翅端まで3mm以上ある有翅成虫まで揃っていましたが、成虫はほとんどがすでに死んでいました。

有翅成虫の死骸はどれも腹部が無いように見えます。Hepotaさんが11月初旬にケヤキの幹で撮られた成虫たちはまだ生きた状態でしたが、記事に寄せられたezo-aphidさんのコメントには「ニレ属の樹幹に沢山飛来するアブラムシで(中略)、これは体内の子虫(無翅雄と卵生雌になる)を産みきった状態なのだと思います。」とあります。
オレンジ色の大きな幼虫で体長は0.8mmくらい。
*大きなのが有性世代の雌(卵生雌)で緑色の小さい方が雄、どちらも多分成虫だそうです。
*大きなのが有性世代の雌(卵生雌)で緑色の小さい方が雄、どちらも多分成虫だそうです。
ところどころに卵のようなものもあります。長さ0.5mmくらい。別の昆虫の卵かも知れません。それとも死骸になっている有翅産性虫が産んだ卵生雌虫がすでに成長していてこの卵を産んだということでしょうか。とすれば多数の焦げ茶色の死骸は無翅雄のものでしょうか。よく分かりません。
*黄色い雌成虫の体内にすでに大きな卵が見えていて、雌は1匹に1卵しか生まないとのこと。またそのかたわらに写っている卵はこれらの卵生雌が産んだものだそうです。
*黄色い雌成虫の体内にすでに大きな卵が見えていて、雌は1匹に1卵しか生まないとのこと。またそのかたわらに写っている卵はこれらの卵生雌が産んだものだそうです。
(2016.11.22・神戸市中央区)
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コメント
下の2枚の写真ですが、大きくて黄色いのが有性世代のメス(卵生メス)で緑色のものがオスです。成虫かどうかは確実ではありませんが、たぶん成虫だと思います。オス・メスともに摂食しないので、サイズは生まれたときからほとんど変わりません。黄色い卵はこれらのメスの産んだ卵でしょう。黄色いメスの体の中に同じくらいの卵がうっすらと見えています。このグループ(Eriosomatinae)では、みな1メス1卵です。黒い死体は、有性世代の死体ですね。
投稿: 青木重幸 | 2016年11月29日 (火) 00時29分
早速のご教示ありがとうございます。
小さな樹皮のかけらの下に様々なタイプの個体や死骸がひしめいていて、一体どういう状況なのか全く見当がつきませんでしたが、おかげさまでようやく少し理解できたようです。
それにしても有性世代が雌雄ともに摂食せず、また1メス1卵とは驚きです。交尾と産卵の為だけに生まれてきたようなものですね。最後の写真の卵生メスも、体内に見える黄色いものがすぐ隣に写っている卵と同じものだとは教えていただくまで想像もつきませんでした。機会があれば交尾や産卵シーンも撮ってみたいものです。アブラムシは面白いですね。
投稿: おちゃたてむし | 2016年11月29日 (火) 20時10分