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2019年5月27日 (月)

ニジモントビコバチ属の一種(Cerapteroceroides sp.)・産卵

昨日の記事に出したダルマカメムシを探している時に、同じアラカシの幹を青く光るコバチが歩いているのを見つけました。冬季、葉裏で越冬しているのをよく見かけるニジモントビコバチ Cerapteroceroides japonicus の雌によく似ているのですが、翅の黒紋や胸部背面の色が違うようなので、 Cerapteroceroides sp.としておきます 。
樹皮の窪みを触角で探りながら歩く様子からおそらく寄主探しの最中だろうと見当をつけてしばらく見守っていると、案の定産卵を始めました。
40分ほどの間、何度も見失いながら追いかけ続けましたが、その間に数度の産卵を見ることが出来ました。その産卵管を突き刺している相手は一見樹皮の他の部分と見分けのつかないようなちょっとした塊ですが、どうやら以前ヒメコバチ科Tetrastichinae 亜科の一種が産卵していた、とりあえずカシノアカカイガラムシの中間幼虫と考えているものと同じもののようです。またこの場面を撮影した木を含めた数本のアラカシには毎年カシノアカカイガラムシが発生するのを観察していて、2013年の記事に掲載した Tetrastichinae の産卵も同じ場所で撮影しています。
北隆館の大図鑑のニジモントビコバチの項には「各種のカイガラムシやキジラミから羽化するが、第2次寄生蜂である」とあります。この不明種も同様の生活史を持っているとすれば、もしかしたらこれらのヒメコバチとトビコバチは1次寄生者と2次寄生者の関係にあるんでしょうか。

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寄主探しにはこの巨大な触角が威力を発揮するんでしょうか。
画面上に見える、やや赤みがかった塊がカシノアカカイガラムシの中間幼虫と考えられます。

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その塊に産卵管を突き刺しました。

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新たな寄主を探っています。

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腹部を曲げて先端を目標にあてがいます。

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産卵を始めました。

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体長約1.6mm、翅端まで約2.0mmです。
この真上から撮った写真では複眼の後ろ、頬の部分が見えていますが、これまでに撮影したニジモントビコバチの同じ角度からの写真ではそれが複眼に隠れて見えません。また胸部背面全体がほぼ一色でニジモンのような縦筋状の色分けがなく、翅の中央部に広い透明部がある点もニジモンとは異なります。アブラニジモントビコバチ Cerapteroceroides fortunatus とも違うようで、もしかしたらニジモントビコバチと外見がよく似ていると言う C.similis がこれなのかも知れません。

(2019.05.19・明石公園)

 

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