イスノキの実に産卵する Neanastaus albitarsis (ナガコバチ科)
今回の舞台は先日の記事でカタビロコバチが産卵していた、そのすぐ近くの別のイスノキです。
多数のカタビロコバチがゆっくりと歩いたり産卵したりしている中に、一匹だけ毛色の変わったコバチが実を一つ一つ探りながら速足で歩き回っているのに気が付きました。しばらく遠目で追いかけた後、ようやく一つの実で立ち止まり産卵を始めたので近づいてみると、越冬中の姿はお馴染みですが、未だ活動中の姿を見たことのなかったナガコバチ科の Neanastaus albitarsis Ashmead、1904 でした。
このハチの寄主については、以前の記事へのコメントでezo-aphidさんから Neanastaus 属の多くはタマバエに寄生するということを、また以前掲載した同属未記載種の記事へのコメントの中でうろでらさんから(未発表情報として)N.albitarsis はタマバエ類に主に寄生することがわかっているということを教えていただきました。
この同じイスノキでは以前、多数の実にタマバエの蛹殻が残されているのを見ていて、今年の春にも確認しています。ネットで情報を探してみると、Dr.カーバチの虫めがねというブログの「イスノキミタマバエ」に関する記事が見つかりました。このタマバエに寄生されたイスノキの実は正常に大きくなれない上に種子もつくれず、このような実は虫嬰としてイスノキミコガタフシと名付けられているそうです。今回産卵を見たN.albitarsis の寄主もこのタマバエである可能性が高いと思われます。また同時期に産卵するカタビロコバチも同じ寄主で競合しているのかも知れません。
実は堅そうに見えますが、意外に易々と産卵管が入っていくようです。
産卵管を引き抜いた後、同じ場所に口をつけてしばらくじっとしていました。寄主体液摂取行動だと思いますが、厚そうに見える果皮を通して体液が滲みでてくるんでしょうか。
(2019.06.06・明石公園)
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コメント
こんばんは、
最後の写真、良いですね!
その前も、凄いのですが。
中国出張は、居残りになってしまい虫撮りが遠のいてしまったのが非常に残念です(^^;。
投稿: そら | 2019年6月14日 (金) 20時49分
そらさん、こんばんは。
まだ帰れないんですか。ストレス溜まりますね。
でもその間もブログの方は毎日更新されているのだから凄いです。
日本では、私が代わりに頑張っていますからどうぞご安心を(?)
最後の写真、そらさんの「温州みかん」ですね。
投稿: おちゃたてむし | 2019年6月14日 (金) 21時27分
おお〜!!とうとう産卵の場面を見られる日が来ようとは。流石です!
実はニジモントビコバチの産卵(こちらも凄い!)を拝見してから予感はしておりました。
これでまた1種、寄生蜂の産卵の貴重な写真がこの世に出ましたね!感動です。
投稿: BABA | 2019年6月15日 (土) 22時24分
BABAさん、ありがとうございます。
タマバチのゴールという情報はありましたが、しょっちゅう見ているイスノキで産卵が見られるとは意外でした。
ブログを始めた頃からご縁のあった種なので嬉しさもひとしおです。
そのうち他の植物のタマバチゴールでも見られるかも知れませんね。
投稿: おちゃたてむし | 2019年6月16日 (日) 08時00分