カテゴリー「膜翅目」の634件の記事

2019年7月27日 (土)

モチノキタネオナガコバチ

この日、イヌビワの葉の上で1匹のモチノキタネオナガコバチ Macrodasyceras hirstum の雌を見かけました。そう言えばちょうどこのハチの羽化が始まっている頃だと気が付いて、以前に多数の雌雄を見たモチノキを見に行くと、いました。

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沢山の実をつけたモチノキのあちこちで雄たちが集まって雌の出てくるのを待っています。

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すでに雌の脱出口の開いた実の上の雄は興奮状態で、しきりに翅をはばたかせながら駆け回り、時々立ち止まっては穴を覗き込んでいます。このあたりの行動はニッポンオナガコバチイスノキモンオナガコバチと変わりがありません。

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周囲にはライバルも数匹いて穴の前の特等席を狙っています。

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こちらではまだ脱出口が開いていませんが、実の表面が円く変色していて、表皮のすぐ下まで掘り進んだ雌が穴を貫通させるタイミングを計っているのだろうと思います。1匹の雄が根気強く待機していますが、この段階ではまだ大騒ぎはしないようです。

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ニッポンオナガコバチと同様、雄の中には褐色の部分の多い体色をした個体もいます。

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かなり粘りましたが雌の誕生の瞬間はついに見られず。しかし脱出を終えた雌ははあちこちにいて、雄に捕まっているものもいました。

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交尾です。

手持ち撮影で見苦しい映像ですが、雄たちの動画も撮ってみました。

実の周囲を頻繁に駆け回るのは、やはりライバル雄を遠ざけておくためでしょうか。

(2019.07.24・明石公園)

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2019年7月23日 (火)

ナガコバチ科の一種(?Metapelma sp.)

立ち枯れのコナラから伸びた細い枝の上を小型のハチが歩いていました。その大きさからヒメバチかコマユバチだろうと思ってとりあえず数枚撮影して見ると、初見のナガコバチです。産卵が見られるかと期待してしばらく追いかけていたのですが、やがて幹の上の方へ姿を消してしまいました。
体長は約5.5mmで、これまでに撮影したナガコバチ科の中では Balcha sp. に次いで大型です。そして胸部背面の形に見覚えがあると思って探して見ると、6年前にBABAさんが掲載された見事な深度合成画像が出てきました。その記事には上條先生から、Metapelma属の雄であるとのコメントが寄せられています。
BABAさんの記事の個体は体長約4mmとひと回り小型ですが、胸部背面の形が大変よく似ている上に、中脚第一跗節の基部や後脚脛節の基部に白色部がある点なども一致します。体長の違いを雌雄差と考えると、同種の可能性も高いのではないかと思います。

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ほとんど立ち止まってくれなかったのでピンボケの量産になりました。またの機会があればいいのですが。

(2019.07.16・舞子墓園)

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2019年7月18日 (木)

ウスマルヒメバチ亜科の一種(Lissonota sp.)

以前にも2度掲載しているウスマルヒメバチ亜科 Lissonota属の一種
過去の分も含めてすべて6月末から7月初めの撮影で、出現時期は限られているようですが、個体数は多いようで、この日も2、3か所で見かけました。
今回もアラカシの幹で産卵場所を探していましたが、非常にせわしない動きをするヒメバチで、あちこちで樹皮の割れ目に産卵管を差し込むのですが時間は短く、実際に産卵しているのかどうかよく分かりません。以前の2度の撮影の際もやはり同じような動きをしていましたが、それを見ていると標的はカミキリムシなどの深く材中に穿孔しているものではなく、樹皮の割れ目などに潜んでいてある程度動き回れるような虫なのではないかと思えてきます。

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(2019.07.10・明石公園)

 

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2019年7月12日 (金)

フサトビコバチの一種(?Cheiloneurus sp.)

撮影時にはつい先日掲載したものと同じ種だと思い込んでいたのですが、帰宅して写真を見比べると別種でした。

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体型も配色も6月に出したものと非常によく似ているのですが、触角の色が明らかに違い、他にも微妙な差異がいくつか認められます。

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体長もひと回り大きく約1.8mm(6月の種は1.3mm)。

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ノブドウの葉裏にいました。

(2019.07.05・明石公園)

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2019年7月 4日 (木)

アミメアリ

土留めに使われている丸太の上をアミメアリの行列が通っていました。それを眺めていると、所々で行列から離れ2匹づつ対になって頭を突き合わせているアリがいます。

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この状態でほとんど動かず、喧嘩しているようにも見えません。

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これはまた別の組。

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お互いの大アゴをしっかり咥えています。

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こういう行動は何度か見たことがあって以前の記事にも出していますが、どういう意味があるのか、謎です。

(2019.06.23・明石公園)

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2019年7月 3日 (水)

オナガバチ2種(Megarhyssa sp.とオオホシオナガバチ)

ここ数年、ほとんど見かけなかった大型のオナガバチ2種(Megarhyssa sp.とオオホシオナガバチ Megarhyssa praecellens )が集まっていました。

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人の頭くらいの高さで二股に分かれたエノキの片方の幹が枯死していて、すでにたくさんの虫孔が開いています。その部分で2種のオナガバチが産卵していました。左がオオホシオナガバチ、右が未記載種です。

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これは未記載種。カメラを片手で頭上に目一杯持ち上げオートフォーカス頼みの撮影です。

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これも同じ個体。
幹の上の方では両種の雄たちも多数集まっていたのですが、場所が高すぎて撮影できませんでした。

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数日後同じ場所で、2種の雌。下の未記載種は平均的なサイズですが、下のオオホシオナガバチはこの種としてはかなり小さな個体です。

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同じ日、オオホシオナガバチの産卵。
この公園で撮影したこれらのオナガバチは過去に何度も記事にしているので、ここにまとめてリンクを貼っておきます。

Megarhyssa 属の
未記載種:2010.06.10,2011.06.12,2012.06.26,2013.07.01
オオホシオナガバチ:2013.07.18,2016.06.15
ついでに、これらの蜂の寄主と思われるヒラアシキバチ:2011.10.17,2013.07.30

(1~3枚目/2019.06.23、4~5枚目/2019.06.29・明石公園)

 

 

 

 

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2019年6月23日 (日)

フサトビコバチの一種(?Cheiloneurus sp.)

コナラの葉裏を歩いていたトビコバチです。
触角で探りながら主脈や側脈に沿って行ったり来たりしている様子は寄主を探している最中のようです。何枚か撮影した後、葉を手に持ったまましばらく見守っていましたが、その葉では寄主が見つからなかったのか、それとも危険を感じたのか、やがて飛び去ってしまいました。
以前にも見た記憶があったので調べてみると、5年前の同時期にフサトビコバチの一種(?Cheiloneurus sp.)として掲載したものと同じ種のようです。数日後別の場所でも同じように広葉樹の葉裏を歩き廻っている本種を2度ほど見かけているので、ちょうど今頃が活動の最盛期なのでしょう。北隆館の大図鑑によれば、Cheiloneurus 属はすべて(カイガラムシ類の?)第2次寄生蜂なんだそうです。

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体長は約1.3mm。いつまでも歩き廻って止まらないので、顔面写真は撮れませんでした。

(2019.06.18・舞子墓園)

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2019年6月17日 (月)

タマヌキケンヒメバチ

立ち枯れのコナラに2~3匹の雌のヒメバチが集まっていました。幹の上をあちこち移動して時々産卵姿勢をとるのですが、すぐに姿勢を解いて別の場所に行ってしまい、じっくり撮影できませんでした。結局こちらが見ている間には産卵に至らなかったようです。
体長は約16mmで、以前にも掲載しているタマヌキケンヒメバチ Jezarotes tamanukii だと思います。

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(2019.06.05・舞子墓園)

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2019年6月15日 (土)

クマバチを捕えたオオスズメバチ

前方の歩道に大きなスズメバチがゆらゆらと舞い降りてきたのが見えたので急いで近寄ると、クマバチを捕えたオオスズメバチでした。この時期ですから、おそらく子育て中の女王でしょう。
慌てて撮影を始めた時にはクマバチはすでに全くの無抵抗で、オオスズメバチはカメラを近づけても気にする様子もなくバリバリと音を立てながらひたすら獲物をかみ砕いているのでした。

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この直後にオオスズメバチは肉団子を抱えて飛び去りました。この間約6分。2ミリ3ミリのコバチも面白いですが、やっぱり大型の狩りバチは見ごたえがありますね。

(2019.06.06・明石公園)

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2019年6月14日 (金)

イスノキの実に産卵する Neanastaus albitarsis (ナガコバチ科)

今回の舞台は先日の記事でカタビロコバチが産卵していた、そのすぐ近くの別のイスノキです。
多数のカタビロコバチがゆっくりと歩いたり産卵したりしている中に、一匹だけ毛色の変わったコバチが実を一つ一つ探りながら速足で歩き回っているのに気が付きました。しばらく遠目で追いかけた後、ようやく一つの実で立ち止まり産卵を始めたので近づいてみると、越冬中の姿はお馴染みですが、未だ活動中の姿を見たことのなかったナガコバチ科の Neanastaus albitarsis Ashmead、1904 でした。
このハチの寄主については、以前の記事へのコメントでezo-aphidさんから Neanastaus 属の多くはタマバエに寄生するということを、また以前掲載した同属未記載種の記事へのコメントの中でうろでらさんから(未発表情報として)N.albitarsis はタマバエ類に主に寄生することがわかっているということを教えていただきました。
この同じイスノキでは以前、多数の実にタマバエの蛹殻が残されているのを見ていて、今年の春にも確認しています。ネットで情報を探してみると、Dr.カーバチの虫めがねというブログの「イスノキミタマバエ」に関する記事が見つかりました。このタマバエに寄生されたイスノキの実は正常に大きくなれない上に種子もつくれず、このような実は虫嬰としてイスノキミコガタフシと名付けられているそうです。今回産卵を見たN.albitarsis の寄主もこのタマバエである可能性が高いと思われます。また同時期に産卵するカタビロコバチも同じ寄主で競合しているのかも知れません。

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実は堅そうに見えますが、意外に易々と産卵管が入っていくようです。

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産卵管を引き抜いた後、同じ場所に口をつけてしばらくじっとしていました。寄主体液摂取行動だと思いますが、厚そうに見える果皮を通して体液が滲みでてくるんでしょうか。

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同じ実で場所を変えて数回、産卵していました。

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(2019.06.06・明石公園)

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