カテゴリー「本」の2件の記事

2014年9月 3日 (水)

「どんぐりの呼び名事典」

このたび世界文化社から「~拾って楽しむ~どんぐりの呼び名事典」(写真・文/宮國晋一)という本が出ました。
この日本で子供のころ、秋の林の中でどんぐりを集めた経験をお持ちでない方はほとんどないと思うのですが、特にどんぐりそのものに関心があるという人は少ないかも知れません。私自身もどんぐりと言えば木の種類によって形が異なり、中には食べられるものもあるという程度の知識しかなく、またそれ以上の興味を惹かれることもありませんでした。昆虫好きの人の中には意外に私と同じような植物音痴の方が多いらしいので、どんぐりに対する認識も同じようなものではないかと思うのですが、そういう人がこの本を一読すれば考えを改めること必定です。
たとえば各樹種について多数のどんぐりの写真が載せられていて、同じ種のどんぐりにも非常に多様な形や色、大きさの違いがあることが分かります。中でも見開き2頁に並べられた様々な形態のクヌギの殻斗は圧巻でしょう。これらの写真はフラットベッドスキャナーで撮影されたということですが、どんぐりの色や質感がとても美しく再現されています。
またどんぐりの成長曲線や時間の経過による色の変化、珍しい多果どんぐりや交雑による殻斗の形の変化、電子顕微鏡による花柱の形、さらに採集や保存のための手引きなど、著者独自の調査研究による知見が随所に盛り込まれていて、非常に多面的で充実した内容のどんぐり入門書になっています。
実はこの本の中の「どんぐりに寄生するタマバチ」というコラムで、以前このブログに掲載した写真を使って貰ったのですが、そのご縁でここに紹介させていただくことにしました。

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著者の宮國晋一さんは「すばらしいドングリの世界」というホームページを運営されている方ですが、そのサイトをご覧になればこの本が長年にわたる詳細な調査の蓄積の上で書かれたものであることが納得されるでしょう。もちろん限られた紙数に収めきれなかった知見も多いはずで、続編が期待されます。
大きめのコートのポケットに入るくらいの大きさでお値段も手ごろなので、ちょうどこれから始まるどんぐりの季節、この本を手に公園や雑木林でも歩いてみるのはいかがでしょうか。

世界文化社刊・A5判 112ページ・定価1620円(本体1500円)
出版社の案内はこちらです。

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2014年7月11日 (金)

「昆虫博士入門」

「日本原色カメムシ図鑑」などでおなじみの全国農村教育協会からこのたび「昆虫博士入門」という観察図鑑が出ました。実は巻末「参考になるサイト」のリストに当ブログも加えられているのですが、だからと言うわけではなく、この本はお勧めです。

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魅力はまず情報量の多さ。全頁多数の生態写真や標本写真とその説明でぎっしり埋められています。昆虫の最大の魅力はその種類と多様性の豊富さですから、絵(写真)の少ない入門書はつまりません。

次に本作りの丁寧さ。昆虫の体の構造から始まってその多様な生態、分類群ごとの解説、そして観察や採集の手引きに至るまで、盛りだくさんの項目がとても手際よくまとめられています。「満を持しての刊行」の言葉通り、著者・編集者が充分に時間をかけて練り上げられたのでしょう。隅々まで行き届いた配慮が窺えます。

本の題名からは子供向きの印象を持たれるかも知れませんが記述は本格的です。もちろん虫好きの子供にも読まれることを想定して作られているのでしょうが、そのためにことさら単純化した説明を用いるというようなことはなく、虫道楽の大人が満足できる充実した内容です。

来週には大型書店の店頭に並ぶそうですから、是非手にとってご覧ください。

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